自己資本額・平均利益額(X2)の評点──決算書のどこを見るかをやさしく解説

自己資本額・平均利益額(X2)の評点──決算書のどこを見るかをやさしく解説 経審
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経営事項審査(経審)のP点を構成する5要素のうち、決算書の数字がそのまま反映されるのが「経営規模のX2」です。正式には「自己資本額及び平均利益額(X2)」といい、P点の15%を占めます。

X2はY点(経営状況分析)と混同されやすい項目ですが、見ているものが違います。Y点が8つの財務指標で「財務の質」を測るのに対し、X2は自己資本と利益の「絶対額(大きさ)」を測る評点です。この記事では、X2の中身と、決算書のどこを見ればよいかを整理します。

X2とは──P点の中での位置づけ

P点は次の式で計算されます。

P = 0.25×X1(完成工事高)+ 0.15×X2(自己資本額・平均利益額)+ 0.20×Y(経営状況)+ 0.25×Z(技術力)+ 0.15×W(社会性等)

X2の点数の範囲はおおむね454点〜2,280点で、業界の平均的な水準は700点前後とされています。完成工事高(X1)が「フローの規模」だとすれば、X2は「ストックと収益力の規模」を見る項目です。

P点全体の構成は経審の点数(評点)の仕組みを、各要素の概要はP点(総合評定値)とはをご覧ください。

X2の中身は「2つの評点の平均」

X2は、次の2つをそれぞれ評点化し、その平均として算出されます。

要素 決算書のどこを見るか 取り方
① 自己資本額 貸借対照表の純資産合計 基準決算の額、または直前2期の平均額のいずれかを選択
② 平均利益額 営業利益 + 減価償却実施額 直前2期の平均

X2 =(自己資本額の評点 + 平均利益額の評点)÷ 2(端数切捨て)というシンプルな構造です。それぞれの評点は、金額を国土交通省の定める区分表に当てはめて決まります。

① 自己資本額──純資産の大きさ。2期平均も選べる

自己資本額は、貸借対照表の純資産合計です。資本金だけでなく、過去の利益の蓄積(利益剰余金)も含みます。

注目したいのは、「基準決算の額」と「直前2期の平均額」を選択できる点です。たとえば直前期に増資をした場合は基準決算の額が、前期のほうが純資産が大きかった場合は2期平均が有利になることがあります。X1の「2年平均/3年平均」(完成工事高評点(X1)の仕組み)と並ぶ、申請時に比較検討できる選択肢です。

② 平均利益額──「営業利益+減価償却費」で見る理由

平均利益額は、損益計算書の営業利益に減価償却実施額を足し戻した金額の直前2期平均です。いわゆる「償却前営業利益」です。

減価償却費を足し戻すのは、建設業は機械や車両など設備投資が大きく、償却費の計上方法によって営業利益が大きく見えたり小さく見えたりするためです。現金ベースに近い「本業の稼ぐ力」で比較する趣旨と考えると分かりやすいでしょう。

ここで使うのは経常利益でも当期純利益でもなく「営業利益」です。決算書のどの行を見るかは、経審で見られる決算書のポイントもあわせてご覧ください。

X2はどのくらい動かせるのか

X2のもとになるのは決算の実績値ですが、性格の異なる2つの要素でできているため、打ち手も2方向あります。

自己資本額──増資や内部留保の積み増しで動きます。特に増資は、経審の5要素の中では珍しく「決算実績の積み上げを待たずに意思決定で動かせる」項目です(Y点の自己資本比率などにも波及します。経営状況分析(Y点)とは)。

平均利益額──利益体質の改善がそのまま反映されます。2期平均なので、単年の好決算は半分ずつ2年かけて効いてきます。

「自己資本を10%増やしたらP点はいくつ動くか」「利益が10%改善したら何点か」は、当サイトの経審戦略シミュレーターで試算できます。改善シミュレーション機能では、X2系の打ち手を含めた効果の大きい順の一覧も表示されます。

つまずきやすい点

「当期純利益で計算してしまう」──平均利益額は「営業利益+減価償却実施額」です。経常利益・当期純利益とは異なります。

「Y点と二重に評価されている気がして混乱する」──自己資本はX2(絶対額)とY点(比率など)の両方に関わりますが、見ている角度が違います。X2は「大きさ」、Y点は「質・バランス」です。

「債務超過のときの扱いに迷う」──純資産がマイナスの場合の取り扱いや端数処理には運用上の細部があります。該当しそうな場合は、申請先の許可行政庁の手引きで確認してください。

「令和8年7月施行の改正を見落とす」──経審は令和8年2月6日公布・同年7月1日施行の改正が予定されています。審査基準日によって適用基準が変わる可能性があるため、最新の取り扱いは国土交通省・許可行政庁の案内で確認してください。

まとめ

X2(自己資本額・平均利益額)はP点の15%を占める「会社の体力の絶対額」の評点で、①純資産(基準決算または2期平均を選択)と②営業利益+減価償却費の2期平均、の2つの評点の平均で決まります。決算書の数字がそのまま効く項目なので、決算前の打ち合わせ段階からX2を意識しておくと、翌年の経審で慌てずに済みます。

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経営事項審査の総合評定値(P点)を、結果通知書の数値から逆算する方式と、決算情報などから推定する方式の2通りで試算できます。令和8年7月1日施行の新基準(告示262号)にも審査基準日に応じて対応しています。
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※試算結果は参考値です。正式な評点は審査行政庁の通知をご確認ください。

出典: 国土交通省「経営事項審査」関係資料(当サイト確認日: 2026-06-11)。本記事は制度の一般的な解説であり、個別の点数・可否を保証するものではありません。評点の計算は審査行政庁により端数処理等の運用差があります。最新・正式な情報は国土交通省および各許可行政庁の手引きをご確認ください。

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