完成工事高評点(X1)の仕組み──2年平均と3年平均の選び方をやさしく解説

完成工事高評点(X1)の仕組み──2年平均と3年平均の選び方をやさしく解説 経審
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経営事項審査(経審)の総合評定値(P点)の中で、最も大きなウェイト(25%)を持つのが「完成工事高評点(X1)」です。いわば会社の「工事の規模」をあらわす点数で、業種ごとに算出されます。

X1で実務上いちばん悩ましいのが、完成工事高を「2年平均」で出すか「3年平均」で出すかという選択です。どちらを選ぶかで点数が変わることがあり、しかも選択は申請者に委ねられています。この記事では、X1の位置づけ、点数の決まり方、そして2年平均・3年平均の選び方の考え方を整理します。

完成工事高評点(X1)とは──P点の中での位置づけ

P点は次の式で計算されます。

P = 0.25×X1(完成工事高)+ 0.15×X2(自己資本額・平均利益額)+ 0.20×Y(経営状況)+ 0.25×Z(技術力)+ 0.15×W(社会性等)

X1のウェイト25%はZ(技術力)と並んで最大です。「どれだけの規模の工事を完成させてきたか」が、経審で最も重く評価されるということです。

X1は申請する業種ごとに、その業種の年間平均完成工事高を国土交通省の定める評点テーブル(区分表)に当てはめて算出します。点数の範囲はおおむね397点〜2,309点で、業界の平均的な水準は700点前後とされています。

P点全体の構成は経審の点数(評点)の仕組みを、各要素の概要はP点(総合評定値)とはをご覧ください。

「2年平均」と「3年平均」──選べるのはなぜか

X1のもとになる年間平均完成工事高は、直前2年の平均または直前3年の平均のどちらかを申請者が選択できます。これは、完成工事高が年度によって大きく変動する建設業の実情に配慮した仕組みです。

考え方はシンプルです。

状況 有利になりやすい選択
直近の売上が伸びている(直近2年が好調) 2年平均
少し前に大きな工事があった(3年前の実績を含めたい) 3年平均
毎年安定している どちらでも大差なし

注意点として、2年平均か3年平均かは申請全体で統一され、業種ごとに使い分けることはできません。複数業種で申請する場合は、主力業種を軸に、全体としてどちらが有利かを比較することになります。具体的な適用条件や端数処理は、申請先の許可行政庁の手引きで確認してください。

業種ごとの算出と「どの業種で積むか」

X1は業種別の点数です。同じ売上規模でも、完成工事高をどの業種に計上しているかで、業種ごとのX1は変わります。公共工事の入札参加資格は業種単位で審査されることが多いため、「入札で勝負したい業種にきちんと完成工事高が計上されているか」は、決算変更届の段階から意識しておきたいポイントです。

なお、工事の内容と計上業種の対応づけ(どの工事をどの業種の完成工事高とするか)には行政庁ごとの取り扱いがあります。判断に迷う工事がある場合は、手引きの確認や事前相談をおすすめします。

X1はどのくらい動かせるのか

X1は実績の積み上げで決まるため、Y点と同じく短期間で大きく動かすことは難しい項目です。それでも、次の2つは申請のたびに検討する価値があります。

2年平均/3年平均の選択──毎回の申請で選び直せます。直近の業績トレンドに合わせて比較しましょう。

完工高10%の変化がP点に与える影響の確認──X1の評点テーブルは区分制のため、完工高が増えても点数が変わらない場合と、区分の境目を越えて点数が動く場合があります。

当サイトの経審戦略シミュレーターでは、年間平均完成工事高を入力するとX1を自動計算でき、2年平均・3年平均の入力値を変えた比較や、「完成工事高を10%増やしたらP点はいくつ上がるか」の試算もできます。

つまずきやすい点

「税込の完成工事高で計算してしまう」──消費税の課税事業者は、経審は税抜の金額で進めるのが原則です。決算書類の段階から税抜ベースを意識してください(経営状況分析(Y点)でも同様です。詳しくは経営状況分析(Y点)とは)。

「2年・3年を業種ごとに使い分けようとする」──選択は申請全体で1つです。主力業種で判断しましょう。

「完工高さえ大きければP点が上がると思ってしまう」──X1のウェイトは25%です。残り75%(X2・Y・Z・W)の改善余地と合わせて考えるのが、P点全体を上げる近道です。経審全体の流れは経営事項審査(経審)とはをご覧ください。

「令和8年7月施行の改正を見落とす」──経審は令和8年2月6日公布・同年7月1日施行の改正が予定されています。審査基準日によって適用基準が変わる可能性があるため、最新の取り扱いは国土交通省・許可行政庁の案内で確認してください。

まとめ

完成工事高評点(X1)はP点の25%を占める最大ウェイトの項目で、業種ごとに、2年平均または3年平均の年間平均完成工事高から算出されます。平均の取り方は毎回選び直せる数少ない「申請時の打ち手」です。直近のトレンドに合わせて、どちらが有利かをシミュレーターで比較してみてください。

P点を試算できるツールを公開しています
経営事項審査の総合評定値(P点)を、結果通知書の数値から逆算する方式と、決算情報などから推定する方式の2通りで試算できます。令和8年7月1日施行の新基準(告示262号)にも審査基準日に応じて対応しています。
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※試算結果は参考値です。正式な評点は審査行政庁の通知をご確認ください。

出典: 国土交通省「経営事項審査」関係資料(当サイト確認日: 2026-06-11)。本記事は制度の一般的な解説であり、個別の点数・可否を保証するものではありません。評点の計算は審査行政庁により端数処理等の運用差があります。最新・正式な情報は国土交通省および各許可行政庁の手引きをご確認ください。

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